行って、愛しきひとよ。そっと静かに旅立って。ふたり過ごした石造りの家も、やがてはすべて塵に。軋む床も、煤けた暖炉も今は全て懐かしい。時は等しく皆に降り注ぎ、避けることは決して出来ず。世界だけが変わらず続いていくだろう。ただ、何もかも忘れ往くなかで、私達の末期に残るもの。それこそが――。朝と夜――その深い断絶の宵に佇む、ふたりの御伽話。その辿り着く先、これにて完結――。
行って、愛しきひとよ。そっと静かに旅立って。ふたり過ごした石造りの家も、やがてはすべて塵に。軋む床も、煤けた暖炉も今は全て懐かしい。時は等しく皆に降り注ぎ、避けることは決して出来ず。世界だけが変わらず続いていくだろう。ただ、何もかも忘れ往くなかで、私達の末期に残るもの。それこそが――。朝と夜――その深い断絶の宵に佇む、ふたりの御伽話。その辿り着く先、これにて完結――。